関東農政局チーズ拡大セミナー

1/22 関東農政局チーズ拡大セミナー、

3人のチーズ作ってる方に話を聞いてきました。
話の概要や資料などがホームページに載っていたので詳しく知りたい方はこちらへ。

私の頭で理解したことを妹でもわかるくらいに分かりやすくまとめたいと思いまーす。
まず、現在のチーズの動向で重要だと思ったところをざっくりと。

  • 現在チーズに対する需要は増えている。
  • しかし、図を見る限りでは国産のチーズの消費量は増えてない
  • そもそも日本の生乳の生産量は減っている
  • ということは輸入チーズの消費量が増えていると考えられる
  • 輸入されているチーズにはどんな種類のものがどの割合で輸入されているのかその他資料からでもわからない。
  • もし、輸入されているチーズの割合が安いプロセスチーズが多いのであれば、日本の単価の高いナチュラルチーズが今後売れるようになるとは限らないなと思った。
  • 現在の現状:日本では加工用のミルクの方が安くで売れる。
    解説:酪農家がミルクを出荷するとする。
    その際に、飲む用として出荷する場合とチーズやバターに加工する用に出荷する場合とで買い取られる価格が違う。
    加工用のミルクは加工した時に同じミルクでもできるチーズの量が多く、雑味のないチーズが作れる方がいい。だからチーズ職人さんは乳固形分が高い、質のいいミルクがほしい。
    なので海外では加工用に出すミルクの方が高い価格で売れている。
    しかし、日本では現在加工用のミルクの方が安く売られている。

    それはなぜか。

    原因1:ミルクの価格を決める時の仕組み(乳価取引)によるもの
    解説:ミルクの値段を決める時どんなことが起きて、加工用の方のミルクが安くなっているのだろう?
    現在ミルクの価格は民間同士の買い取り手と売り手の交渉(乳価交渉)で決められている。実際は大手の乳業メーカーが安定してかつ大量のミルクを届けられるため、発言権は大手のメーカーの方が大きく大手が乳価を牛耳っているといっても過言ではない。個人の小さい農家が農協などの団体にミルクを出す場合、とても質のいいミルクをつくっても乳価交渉で決められた値段で買い取られ、質が普通のものと混ぜ合わせて私たちの手元に届くため、それ相応の高い値段では買い取ってくれない。
    農協の方でも質のいいミルクは少し高い値段で買い取るという取り組みはしているが、それ以上にいいものをつくっても報われないので、農協にお世話になっている生産者はそれ以上良くなろうとはしない。
    なので、個性的な飼育で質のいいミルクを作っている酪農家さんの多くは農協などに通さず独自の販路で付加価値をつけて売っている(実際やるのは難しい)。

    原因2:今と昔でチーズに対する概念が全く違うから。
    ほんの10年前くらいまでは、ナチュラルチーズを作ってもプロセス原料用として海外のチーズと混ぜてプロセスチーズにしてしまっていた。そのため乳質は拘らない形で生産されていた。
    だから飲む用に売るミルクが高く売ることができていた。
    それが、ブラウンスイスやジャージー牛の様な、ホルスタインより高い牛種を使い始める様になって、それが適切な価格で売れ始める様になったのはここ数年の出来事である。
    さらに、この流れを受けて輸出向けのチーズの単価の上乗せ制度が始まった。
    そういうわけで乳価取引で起きている実態の是正はこれから。

    原因3:海外の安いチーズと比較されるから。
    飲む用のミルクは鮮度が第一なので輸入に頼ることはできない。なので国内で生産される価格で売ることができる。
    一方でチーズやバターなどの乳製品向けのミルクは、海外からの輸入品と価格を競争しなければならないので安くなってしまう。

    * 海外の乳製品はなぜやすいのだろうか。
    わかりやすい例を挙げると、
    現在日本の牛が食べている餌のほとんどは輸入飼料。
    それに対し、海外では家畜の餌は自分の国で調達できるから。
    理由はこれだけにとどまらないんだろうけどまた詳しく書く機会があれば書きます。

    加工用のミルクがより売れることの原因として農政局の方は主にこの三つを説明されていた。

そして、本題。

今回の3人のお話で印象に残っていること
退職後にチーズ工房を新しく始めたこと。
割と新しい会社であること。

チーズの需要が増えているという背景があってこそ、この3人はうまくいってんだなと感じた。

お三方の中で小布施牧場の木下さんの話は特に印象的だった。
経営戦略に関して、これでもかっていうくらい差別化が徹底されていた。
組合に頼る割合を減らしいかに独自の付加価値をつけるか。
ざっとその特徴を挙げると以下のようになる。

  • 小布施農場は現在8頭のジャージー牛を10haほどの土地で飼養している。(1ha一頭以下)子牛2頭に関しては5haの森にはなしている。(里山再生)
  • 朝しぼりたてのミルクをその日のジェラートにし、販売。(すぐ商品にできて利回りがいい+超フレッシュ)
  • チーズ工房は建てたがフレッシュチーズ用のもの。
  • 牛を10頭以上にする気はないので10頭の牛からいただける30000ℓを最大限に有効利用。
  • いずれは自給率100%に。

酪農の勉強などをして日本の今の実態を知っている私たちにとっては彼がやっていることがいかにこれまでの酪農スタイルと違うのかっていうのがわかるけど、

この違いがどうしたら一般の消費者にも伝わるのだろうか。
(今度日本の実態について書くね。)

毎日飲むミルクのことを考えたことはありますか。

消費者自身が毎日日常で何気なく使っているものがどうやってできているか、関心を持たなければどっちにしろこの地球の終わってしまう=私たちの未来はない。

でもある意味で、そうやって手間暇かけて作られた牛乳はそれなりの価値があって、私たちが購入することに意味があるとうこと。
これをできれば知ってほしいっていうのは私のエゴ。

以上。
今回のチーズ拡大セミナーに参加して、

すごい、ここまで手の内を明かしていいの?っていうような話が聞けた。
かっけえ!
私もそんな人になりたい。
もし自分がうまく行ってもうまくいかなくても手の内は全てあかして、
こんなやり方もあるんだっていう提示はずっとしていきたい。

どうぞ盗んでください私のアイデアって言えるようになるぐらいこの先も駆け抜けていきたい、ぜ!

と思った私でした。

コメントを残す